伊豆移住ライフ(8)竹山裕二さん・倫子さん(伊東市)
2011年05月06日
伊東市大室高原、桜並木から伸びる道をちょっと入ったところに、一軒の体験施設がある。「手描きTシャツ工房チロル」。ドアを開けると笑顔で迎えてくれるのが、竹山裕二さん・倫子さんご夫婦。二人は2008年に、神奈川県相模原市から伊豆高原へと移住してきた。
「伊豆へは年に数回、旅行に来ていました。その時に、朝起きて海が見える生活がいいなあ、って思ったんです。もともと『いつか田舎暮らしをしたい』と考えていたんですけど、その『いつか』を考えてみたら、老後じゃないな、って。歳を取って動けなくなる前にと思い切って来たんです」
二人とも、移住する前はコンタクトレンズを扱っている会社に勤めていた。企業戦士として、毎日スーツとネクタイに身を包んでいたという裕二さん。
「こっちに来たら、服装も思いっきり変わりましたね。襟のついたものを着なくなって、Tシャツなどゆったりしたものになりました。夏は短パンにサンダルです」
「私も、かっちりした服を着なくなって、ヒールの高い靴も履かなくなりました。このあたりで暮らすなら、動きやすい服が一番ですね」
自然体でいられるのがいいという二人は、着ているTシャツも自作。裕二さんは葉っぱをあしらったシンプルなもの、倫子さんはかわいい花で作られたRのイニシャルが印象的だ。
●伊豆に来て驚いたこと
「水と空気がおいしくて、静かで、時間がゆっくり流れているなぁと。星もたくさん見えるし、街灯がなくて真っ暗な場所があるのに驚きました。完全な暗闇って現代では貴重ですから、楽しんでいます。あと、思ったより地震で揺れないこと。地盤が大室山の溶岩でできているからか、テレビで発表される震度より小さい気がしますね」
チロルのベランダの目の前には、大きなヤマザクラの木がある。リスがトコトコ走っていることも多く、そのかわいさに目を細めているのだそう。
●SNS(※1)で広がり始めた輪
「移住してから、家の中にひきこもって仕事をしていることが多かったので、実は最近まで周りの人との交流があまりなかったんです。でも、Facebookを始めてから、1〜2ヵ月くらいで急激に増えましたね。移住者の方ももちろんですが、伊東の商店街の方や食べ物やさん、観光関係の方も。地域の方と知り合うきっかけになって、色々な人とつながることができるので、とても役立ってくれています。みんなで集まって、twitterの勉強会をしたりもしているんですよ」
伊豆でもインターネットを通じて、各地で様々な交流の輪が広がっている。SNSを活用すれば、多くの人と出会い、移住ライフをより一層楽しむことができるかも。
(※1)ソーシャル・ネットワーキング・サービスの略。趣味や仕事・日常を綴った日記や友人などを通じて交流し、コミュニティや交友関係を広げるサービスのこと。日本ではmixiやFacebookなどが有名。
●世界に一枚だけのTシャツ
チロルで特に人気なのが、オーダーメイドの出産祝いTシャツとお名前Tシャツ。一枚一枚手描きで、同じものは一枚もない。まさに、その子のためだけに作られた『オンリーワン』なのだ、
製作する上ではお客さんとしっかりコミュニケーションを取って、名前の由来、好きなものなどをデザインスケッチに盛り込んでいく。
「ネットショップだけど、つながりを大事にしたい」
そんな想いが形になったチロルからのメールは、お客さんの心にもしっかり届いている。商品が到着したことを知らせてくれたり、実際にTシャツを着たお子さんの写真を送ってくれたり、時には友人のようなメールをやりとりすることも。ネットを通しても事務的・無味乾燥にならない、あたたかいコミュニケーションが生まれている。
●Tシャツにまつわるエピソード
特に心に残っているのは、学生時代の友人に子どもが生まれ、そのお祝いにとTシャツを注文してくれた男性。しばらく会っていなかった友人が、電話口でとても嬉しそうに名前の由来を話してくれたことで、チロルのTシャツを贈ることを思いついたという。その由来を取り入れたTシャツを受け取った友人はとても喜び、会ったことのない奥様からも感激の声をいただいて、交流が復活したと喜びのメールが届いた。その子のためだけに作られた『オンリーワン』のTシャツは、贈る人のまごころを伝え、人と人とをつないでくれる。
●プロではない!?
かわいいTシャツを生み出す倫子さん、てっきり美術やデザイン系を学ばれた方だと思っていたら、なんとすべて独学とのこと!「小さい頃から絵が好きで、ずっと描いてはいたんですが、学校などで勉強はしていないんですよ」とのこと。実は本格的に絵を描いていたのは裕二さんで、サラリーマンになる前は漫画家になりたくてアシスタントをしていたことがあるという。現在は料理漫画家として知られている、劇画タッチ(!)の先生のもと、修業を重ねていた。「今は奥さんのアシスタントですね」と微笑む裕二さんも、縁の下の力持ちとして、チロルのTシャツづくりを支えている。
●これからの夢
現在のチロルは、ネットショップを通じたTシャツ製作・販売がメイン。これからの展望として、体験工房の方にももっと力を入れていきたいという。「工房では手描きTシャツの展示もしているので、気軽に遊びに来てください」とのこと。そんな二人の夢は、Tシャツの世界から飛び出して、キャラクターをブランドにすること。看板マスコットのチロルちゃん、のんびり屋のカエルくんなど、チロルには魅力的なキャラクターがいっぱいいる。彼らが絵本やグッズなどでストーリーを持って動き出したら、素敵な世界が広がりそうだ。さらに「いずれは伊豆のゆるキャラなんかも考えていきたいですね」と倫子さん。いつか、ひ●にゃんにも負けない名物ご当地キャラが誕生するかも!? 楽しみに待ちたい。
[関連リンク]伊豆・iZu
手描きTシャツ工房チロル 体験工房
手描きTシャツ工房チロル ネットショップ
〈イズハピ編集部・ぴよこ〉
▼伊豆移住ライフシリーズ一覧
伊豆移住ライフ(9)荻嶋博司さん・留美さん(東伊豆町)
伊豆移住ライフ(8)竹山裕二さん・倫子さん(伊東市)
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