伊東暮らしを満喫中~アニメ界のTAKUMI~
2011年04月21日
伊豆高原のソメイヨシノがふっくらと蕾をつけ始めた頃、二人の素敵な紳士にお会いしてきた。関修一さんと、大場伊紘(ただひろ)さん。名前を聞いてピンと来る方もいるかもしれない。「トム・ソーヤの冒険」「オズの魔法使い」「アルプスの少女ハイジ」「ムーミン」「小さなバイキングビッケ」など、思わず「懐かしい!」「子どもの頃、見てた!」と言ってしまうアニメたちを産み出してきた、日本のアニメーション界を支えてきたお二人である。
プロフィール
関修一さん:1946年生まれ、東京都出身。アニメーター、キャラクターデザイナー。デザイン学校在学中、TCJ(現エイケン)に入社。「小さなバイキングビッケ」や「ペリーヌ物語」、「トム・ソーヤの冒険」、「オズの魔法使い」などの多くのアニメのキャラクターデザインを手がける。現在は伊東在住、フリーランスとして、幅広いジャンルの作品に参加したり、個展を開いたりと活躍している。
大場伊紘さん:1943年生まれ、東京都出身。アニメプロデューサー。日本大学芸術学部を卒業後、TCJに入社。ズイヨー(瑞鷹株式会社、のちの日本アニメーション)設立後は、「やみつばちマーヤ」や「ムーミン」、「小さなバイキングビッケ」などを手がける。日本アニメーションを退社後はパンメディア(現在は解散)を設立、代表としてさまざまなアニメのプロデュースを担当。現在は引退し、伊東暮らしを満喫中。
伊豆はアニメ関係者のお気に入りの場所
お二人とも現在伊東暮らし。もともとは東京に住んでいて、何度か伊豆へ遊びに来ていた。「伊豆は東京から近くて空気もいい。生活の不便さは感じるが、東京は(仕事はしても)住むところじゃないとつくづく思う。稼ぎは減っても、精神的に安らげたり、地元の人と交流したり、それ以上のものが伊豆にはある」と語るお二人。
関さんは、こちらに移住して30年が経つ。富戸の借家で7年暮らし、地元の大工さんと仲良くなったのがきっかけで、一軒屋を建築。バーベキューができる広々とした庭と、家の中には伊豆の干物を焼いて味わえる囲炉裏もある。それが現在の住まいで、住んで23年。人生の半分以上を伊東で生活している関さんは"移住者"ではなく、立派な"伊東市民"である。余談だが、次期町内会長を狙っているとか(笑)。趣味はテニス。
大場さんも以前、伊豆に住んでいたことがあり、3年前本格的に移住してきた。奥さまと二人暮らし。趣味は釣りと麻雀。
伊東には多くのアニメ関係者が住んでいる。関さんが伊東暮らしのはじめで、これを皮切りに、次々と移住してきた。余談だが、こちらでお嫁さんをもらった方もいるとか。伊豆は知られざるアニメ関係者のお気に入りの場所なのだ。
TCJとは
関さんは絵(漫画)を描くのが大好きで、大場さんは映像(映画)に憧れて、アニメ界の門を叩いた。白黒からカラーにテレビが変わり始めたころ、「TCJ」というアニメーション制作会社に入社した。TCJは現在のエイケン。当時は、手塚治虫の「虫プロ」、狼少年ケンやゲゲゲの鬼太郎、魔法使いサリーなどを産み出した「東映アニメーション」、ビックXやオバケのQ太郎、巨人の星などが代表作の「東京ムービー」(1993年解散)と並ぶ4大アニメーション制作会社の一つであった。同社で関さんはキャラクターデザインとして、大場さんはプロデューサーとしてそれぞれ腕を磨いていった。
次に、お二人に語ってもらった知られざるアニメの裏側を紹介していこう。
アニメ裏話(1) ムーミンは日本製?
日本でもおなじみ、トーベ・ヤンソン原作の「ムーミン」。カルピス劇場(後の世界名作劇場)で放送された日本版のアニメは、大場さんがプロデュースを担当している。私たちが認識している愛くるしいムーミン、実は"日本製"だというのを皆さんご存じだろうか。
トーベ・ヤンソンの住むフィンランドは、北欧に位置する。なので、原作のムーミンは、寒さ厳しい北欧気質を兼ねそなえた容姿をしている。可愛らしさは少なく、トロールの一種として描かれている。ちなみにトーベ・ヤンソン自身がキャラクターを描いている。
日本でムーミンのアニメ化が決まったとき、キャラクターを「日本向けの可愛いイメージ」に変更することになった。それに合わせ、「ホームドラマ」向きにストーリーを変えた。これに大反対したのが、原作者のトーベ・ヤンソンだ。もちろん、彼女が描いたムーミンとかけ離れていたこと、原作とは違うホームドラマになっていたからだ。彼女が来日した際、大場さんらは直接会いに行き、なんとか説得に成功した。「児童文学をアニメ化するのは実はこれが日本初。関係者には知名度がないからアニメ化は無理だろうと言われていた。冒険だったが、アニメーションは子どもたちに夢を見させるもの。だから大丈夫だ(人気が出る)と確信していた」と当時の様子を振り返ってくれた。大場さんの言葉通り、「ムーミン」は子どもから大人まで幅広く魅了するアニメの一つとして今日も人気を博している。
アニメ裏話(2) サブキャラクターは遊び心満載
どこか温かくて愛きょうのある魅力いっぱいのキャラクターたちを世に送ってきた関さん。キャラクターデザインは、どういう手順で進行していくのか教えてもらった。
アニメはまず脚本ができてからキャラクターが決まる。なので、脚本が出来るまでは原作を読みイメージを膨らませるという。場合によってはロケハンにも行く。最初に描くキャラクターはアニメの要となる主人公。監督と何回も打合せを重ねながら描いていく。主人公が出来上がると、次はサブキャラクターたちだ。「制約が少ないので、のびのびと描ける」。トム・ソーヤの冒険のキャラクター原画を見せていただいたが、主人公よりも生き生きとして見えた。旅行もののアニメでは描いたキャラクターは数百人以上になることも。文字(名前)でキャラクターを起こすこともある。絶好調のときには「紙に人物が浮かび上がってくる」そうだ。
関さんが、一番大変だった作品は「ペリーヌ物語」。今までと傾向の違うデザインに、緊張して硬くなってしまったという。続いて「赤毛のアン」、そして「トム・ソーヤの冒険」のキャラクターデザインでやっと"自分のカラーを出していけばいい"ということに気付いた。「ふしぎな島のフローネ」や「南の虹のルーシー」そして関さん・大場さんお二人の一番のお気に入り「オズの魔法使い」を産み出した。
お気に入りの作品 「オズの魔法使い」
「オズ(オズの魔法使い)はクオリティも良くて、原点に戻った作品でもある」。1986-1987年にかけて放送されたアニメ「オズの魔法使い」。少女ドロシーが竜巻に家ごと巻き込まれ、飼い犬のトトとともに「オズの国」へと飛ばされてしまう物語だ。関さんの原画を見せてもらった。「真剣に生きているけど、どこかとぼけていて、人間味あふれるオズのキャラクターたち」。オズのファンは多く、このアニメを観てアニメ界に入ってきた人もいるほどだ。「好きだと生き生きして描ける」。画は鉛筆一本で描き、水彩や色鉛筆で塗ったもの。生き生きとした"オズ"の世界をアニメでも体感してみてほしい。
日本のアニメーションは世界にも通用する
長年、この仕事に携わってきて「アニメは国境を越える」と実感したという。現在さまざまな日本のアニメが世界で放送されている。ドラゴンボールや、ドラえもん、ポケットモンスターなど、日本の文化(例えば座敷)や音楽、キャラクターがそのまま世界に発信され受け入れられている。「世界では作れない日本のアニメ。高い値段で買っていく」と語るお二人。制作費や人件費など1本のアニメを制作するのには、莫大なお金がかかる。なので、「売れる」ものしか制作しなく、企画倒れになったものも多数あるとか。
「小さなバイキングビッケ」はドイツとの合作。キャラクターデザインは関さんが担当している。実は、ドイツでビッケの実写版が放送されていて、アニメのビッケ(関さんのビッケ)そっくりそのままだという。
国境のないアニメ。日本中、世界中のたくさんの人たちに「元気」を分け与えていってほしい。
取材を終えて
伊東市富戸にあるナチュラリー雑貨店「ブイヨン」でたまたま大場さんと出会ったのが、取材のきっかけ。「アニメのムーミンを産み出した方ですよ」とブイヨンの店主の安田さんに、紹介していただいた。小さい頃から大好きなアニメの一つであり、現在ある放送局で再放送されていて、「懐かしい」と何気なく見ていたからとてもビックリした。余談だが、筆者は「ムーミン」を中学生になるまでカバだと思い込んでいた。※ムーミンは妖精です。
「伊豆高原だけで買えるお土産、ブランドの発信」を現在考案中のお二人。関さんがデザインしたオリジナルキャラクターをTシャツや版画などにしていきたいという。イズハピで随時、お二人の動向をお知らせしていきたい。
イズハピユーザーにプレゼント♪
なんと、最後にお二人から嬉しいプレゼントをいただきました。
『関修一さんのサイン色紙』を3名様にプレゼント!
応募締切は平成23年5月16日(月)
イズハピユーザー限定です。応募には会員登録(無料)が必要です。色紙は選べません。厳正なる抽選の上、賞品の発送をもって発表にかえさせていただきます。
応募はこちらから
〈イズハピ編集部・つっちぃ〉
- DATE
- 公開日:2011年04月21日
- カテゴリ:ひと
- 著者:つっちぃ
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