世界最大級のねずみ〜カピバラ一家のほんわか入浴〜
2011年01月27日
伊東市富戸にある伊豆シャボテン公園の「カピバラ入浴」。30年近く続くこの行事は、いまや「伊豆の冬の風物詩」となっている。お湯につかり、幸せそうに眼を細めたカピバラは、見ているだけで心がほんわかと温かくなる。忙しすぎる日常を、束の間でも忘れさせてくれるカピバラ入浴のファンは多い。現在の担当飼育員は、加藤るいさん、岩田寿紀さんのフレッシュコンビ。カピバラだけでなく、リスザルの飼育も担当している。あまり知られていないカピバラの生態にちょっぴり迫ってみた。
☆「カピバラのいい湯だな♪」の動画は、こちら・・・
◎「鬼天竺鼠」って?
カピバラは世界最大級のネズミ。野生のものは、南アメリカ東部アマゾン川流域を中心とした温暖な水辺に生息。決まった巣は作らず、草原を移動しながら生活しているという。和名は「オニテンジクネズミ(鬼天竺鼠)」。鬼なんてついているが、性格はいたっておだやか。人間にもなつくが、かなり臆病なので大きな声をだしたり、ふいに近づいて脅かしたりすることは控えたい。体毛は、ごわごわしていて、タワシのように硬い。おなかはめったに見ることはできないが、とてもきれいなピンク色をしている。
◎こう見えて泳ぎは得意・・・
水辺で暮らすカピバラの前足・後足には、クモの巣状の水かきがついていて、泳ぎは大の得意。水中に5分以上潜るなんておちゃのこさいさい。これも肉食獣から身を守る本能のなせる技だ。
◎初代カピバラは1966年(昭和41年)にやってきた・・・
伊豆シャボテン公園でカピバラの飼育が始まったのは、昭和41年。東京オリンピックの2年後だ。当時は珍しかったカピバラ飼育も、現在は国内約20カ所にまで増えている。
◎笹の葉、大好き・・・
カピバラは草食性。伊豆シャボテン公園では、1日に2回のエサやりタイムで、キャベツ、さつまいも、ニンジン、りんご、青草、乾草などを与えている。なかでも笹の葉は大好物で、取材当日も、なかなかお風呂に入らないカピバラ一家を誘導する必殺技として使われていた。歯が生えた状態で生まれてくるため、生後3日位から食事をすることができるが、もちろん赤ちゃんは、お母さんのおっぱいが大好き。3カ月位まではお乳を飲む様子が見られる。
◎お風呂好きを偶然発見・・・
いまではすっかりおなじみのカピバラの入浴だが、始まったのは1982年(昭和57年)から。冬に担当飼育員がお湯を使ってお掃除していたところ、カピバラ達が寄ってきて偶然、お風呂好きなことを発見。「これは面白いかも?」とさっそく入浴が始まった。ゆず湯は1996年(平成8年)のねずみ年の冬至から。ゆず湯の他に「さざんかの花湯」「夏みかん湯」など、「変わり湯」もある。
◎カピバラの耳の秘密・・・
陸にいる時は、立っている耳だが、水中に潜るときは、ぴたっと蓋をするようにたたまれる。これは、水が耳に入らないようにするためと、泳ぐ時に水の抵抗をなくすためといわれている。よ〜く観察してみるとわかるが、実は鼻の穴も閉じているのだ。
◎あれ?シッポは・・・
ねずみといえば、「シッポ」。しかし、カピバラにはシッポはない。かつてシッポがあったんだろうな?と思える「骨」のなごりの突起のようなものがあるだけだ。シッポには、高いところへ登った時などにバランスを取るという役目がある。草原に住むカピバラは、木など高いところへ登らなくてもエサがとれるので、シッポが退化したのではないか?と推測されている。
◎カピバラって鳴くの?
よ〜く注意して聞いてみると、ごきげんでうれしい時は、「キュル キュル」ととてもかわいい声で鳴く。が、かわいいカピバラも怒ると「フン!」と鼻の穴
を広げ、鼻息荒く威嚇!そして、飼育員さんの呼び掛けにはよく反応し「お〜い」と呼ぶと一斉に振り向く姿はなんともユーモラスだ。
◎ヤング家族なんです・・・
家族構成は、兄の雷(らい)1歳、兄嫁のいくら2歳、弟のまめ10カ月と"超ヤング家族"である。雷とまめは、伊豆シャボテン公園生まれ。いくらは石川県のいしかわ動物園から、お嫁入りした。ちなみにいしかわ動物園にも新しく「カピバラ湯」がオープンした。
◎名付け親は担当飼育員・・・
◆「雷」2009年8月11日生まれ。体長70センチ。体重28キロ。
雷の生まれる前日の8月10日、伊東市はものすごい台風で雨風がひどかったそうだ。その様子を見た加藤飼育員、「風神雷神みたい!」。そして翌日生まれたカピバラの赤ちゃんに「雷」と名づけた。
◆「いくら」2008年7月24日生まれ。体長80センチ。体重40キロ。
いしかわ動物園で名づけられた「いくら」。石川動物園では「漫画 サザエさん」の登場人物名がつけられているそうである。
◆「まめ」2010年2月3日生まれ。体長50センチ。体重14キロ。
こちらの名付け親も加藤飼育員。節分にちなんで「まめ」とした。
以前は温泉シリーズで「源(げん)」ちゃん、「泉(せん)ちゃん」「湯わたり」くんなどというユニークな名前もあったそうだ。雷といくらの赤ちゃんの名前は、何だろう?今からとても楽しみだ。
◎小石で歯磨き?
通常、野生の世界で歯磨きと言えば「小枝」。しかし、伊豆シャボテン公園のカピバラたちは、小枝も使うが「小石」を口の中に入れてガムのように器用にく
ちゅくちゅして歯を磨く。使用する小石は火山の石。大室山の麓にある為、軽石のような小石がいたるところにあるのだ。その隙間にゴミが挟まって上手に歯が
みがける仕組みだという。お椀を伏せたような美しい曲線が印象的な大室山は、2009年度「静岡県景観賞」の優秀賞、2010年には国の天然記念物(地
質・鉱物)に指定されている。2月第2日曜日に行われる「山焼き」は、700年の伝統を誇る伊豆に春を呼ぶ行事となっている。
◎カピバラ手ぬぐい、大好評・・・
2008年から毎年販売している「カピバラ手ぬぐい」(2011年製で4枚目)。こちらは、担当飼育員と絵の上手なスタッフが、アイディアを出し合って作成しているそうだ。ちなみに、加藤飼育員の案はまだ採用されず。加藤飼育員作の手ぬぐいが店頭に並ぶ日が待ち遠しい。
取材を終えて・・・
子供のころから、幾度となく訪れ、慣れ親しんでいる「伊豆シャボテン公園」。幼い日、園内中央にある池の飛び石を調子に乗ってポンポンと渡っていたら、
最後のひとつを踏み外し、池に落ちたことがあった。すっかり池にはまった私を引き上げ、「あらま〜」と途方にくれた母の顔が今も浮かんでくる。いまだに園
内の池を見るたびに、心の中で思わず苦笑してしまう。今回の取材で初代カピバラが昭和41年にきたことを初めて知った。「現在、何代目ですか?」と質問し
たが、正確な数字はわからないそうだ。伊豆シャボテン公園のカピバラ家系図があったら、おもしろいな〜と思う。昨年亡くなった雷クン、まめクンのお父さん
の「新(しん)」クンは、数々のポスターの表紙を飾り、芸能人たちとも「混浴」を楽しんだらしい。「カピバラさんと足湯」。そんな楽しい企画の実現も近い
かも!?
[関連リンク]伊豆シャボテン公園
〈メディア室・みい〉
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