上野&尾崎のカメラ散歩

 

ミノルタブランド最終一眼レフ・α-70で撮るクロアチア・ドブロブニク

朝日に輝くドブロブニク全景

 中欧クロアチアの最南端都市ドブロブニクは「アドリア海の真珠」と呼ばれる観光都市で特にアドリア海に突き出た城壁で囲まれた旧市街が見どころである。
1979年に世界遺産に登録されたこの美しい市街は1991年のクロアチア独立戦争の際にかなりの被害を受けたが、旧市街の展望台であるスルジ山へのケーブルカー以外はほとんど修復され素晴らしい街並みを復活している。
このドブロブニクへの交通手段は利便性が悪く長距離バスか首都ザグレブからのクロアチア航空便に限られていたが一日一便ではあるがドイツのハブ空港であるフランクフルトからの直行便が開設され個人旅行のハードルが一挙に低くなっている。
「エーゲ海の真珠」と呼ばれるギリシャ・ミコノス島の撮影は終えているため、次の目標である「アドリア海の真珠」ドブロブニクの撮影行を企画することになった。

クロアチア航空機・ドブロブニク空港

 最初の難関がフランクフルトからのクロアチア航空便、小型機で一日一便のために予約が極めて取りにくい。さらに毎日出発時刻が大幅に異なる変則フライトのために旅行計画が立てにくい事である。結局、フランクフルトに一泊して翌日午前中の便でドブロブニクに向かい、帰路はホテルを朝5時にチェックアウトして7時の便でフランクフルトに戻るというスケジューリングを余儀なくされた。
さらに私個人の問題がカメラバッグ、常時キャリーバッグ兼リュックサック型の大型バッグにペンタックス645NⅡと交換レンズ4本、フィルムマガジン、サブカメラの標準ズーム付ニコンF6、ネガカラ―用の標準ズーム付ニコンF80Dを入れて持ち運んでいる。
重量は飛行機の機内持ち込み制限の10Kgを若干超える重量だが、今回は初めての訪問地で土地感も無いために単焦点レンズ2本を利便性の高いズームレンズに交換した。当然の事として重量は制限を大きく超える12Kg近い値になった。私のカメラバッグはサイズも機内持ち込み制限サイズをキャスター分がはみ出すレベルの大型で、しかも重量オーバーではクロアチア航空の小型機B737の制限にひっかかる事は必至である。
そこで、サブカメラのニコンF6を小型軽量カメラに入れ替える事とし、選択したカメラがミノルタα-70である。

■ミノルタα-70


 2003年8月にミノルタカメラとコニカが経営統合した際に、カメラはミノルタブランド、フィルム工業製品はコニカブランドとする取り決めが行われ、このルールに沿って2004年1月に発売されたオートフォーカスフィルム一眼レフがミノルタα―70である。
この当時、オートフォーカスフィルム一眼レフ市場はデジタル一眼レフへと急速移行期にあり、ニコンは2003年に発売したニコンU2,ペンタックスも2003年発売のペンタックスiSTが既に最終製品となっている。2004年に発売されたミノルタα-70は、同年に発売されたキャノンEOS Kiss7と共に国内カメラ史上の最終オートフォーカスフィルム一眼レフになった製品である。
このミノルタα-70,ミノルタが誇ったフラッグシップ機α-9,上級機α-7の優れた特徴をほとんどそのまま継承した完成度の非常に高いカメラで、多分コストパフォーマンスではナンバーワンと言える製品である。
例えば、絞り優先、シャッタースピード優先、プログラム、マニュアルがダイアルモードで切り替えられる機能性、9点測距のオートフォーカス、ワンタッチの1点測距切替、オートフォーカス合焦後にマニュアルフォーカスに瞬間移行できるダイレクト・マニュアルフォーカス機構、14分割パターン測光・中央重点・スポット測光、多重露光、補正幅を任意設定できるオートブラケット機能、フィルム巻き上げ時にパトローネ内完全巻き込み・遮光重視のフィルム残し巻き上げ選択等々、プロ・上級者を満足させるフル装備と高い操作性を両立している。α-70は、ミノルタ最終一眼レフとして保有技術の全てを投入した感のあるカメラである。
さらに、α-7,αスィートのエンジニァリングプラスチック外装とは異なり、アルミ合金のトップカバーを採用してカメラの質感を高めた事も心憎い配慮である。
強いてウィークポイントを探せば、コストダウンのためにペンタプリズムでなくルーフミラーを採用した事から視野率が90%,倍率が0,7倍とやや低い事である。しかしながら、最近のデジタル一眼レフと大差が無く、さらに銀蒸着ミラーによりミノルタ一眼レフ伝統の「明るく・見やすい」ファインダーが維持されていることもカタログ仕様には顕れない大きなと特徴である。
私は、そのうちα-70を購入しようと思っている内にα-70が市場から姿を消し、購入チャンスを逸した苦い経験がある。その後、在庫処分品、中古カメラ店等での出会いにも恵まれず再会は2009年・東京日本橋の中古カメラ店である。新品同様のα-70が2台、9000円の価格でガラスケースに並んでいるのを見つけ即購入した。レンズは手持ちのα用レンズを流用するつもりでいたが、宇都宮に仕事で出掛けた際に市内の中古カメラ店でミノルタAFズーム28-80mm f3.5の新品を何と3000円で購入、合計12.000円で私のカメラ群に「最新鋭?」フィルムオートフォーカス一眼レフが新たに加わる事となった。
このα-70,ボディ+標準ブームレンズの合計重量は605g,ニコンF6のボディ+標準ズームレンズの重量は1520g,電池の差も含めて約1Kgの減量が実現、何ら問題なくクロアチア航空の機内に持ち込むことが出来た。
添付するドブロブニクの写真は、ミノルタα-70とフジ・ブロビア400Xリバーサルフィルムで撮影したフィルムをスキャナー入力したものである。

  • ドブロブニク全景、手前はプライベートビーチ
  • ドブロブニク旧港と聖イヴァン要塞
  • 旧市街入口ビレ門にある砲台
  • 旧市街の大理石敷きのメイン通り・プラツァ通り
  • プラツァ通りから網の目の様に伸びる狭い路地、背後の山はスルジ山
  • 1438年に掘られたオノフリオ噴水、今でも美味しい天然水が飲める
  • オレンジ色の屋根瓦で統一された旧市街の住宅地

 ドブロブニクの旧市街は自動車乗り入れ禁止、小型電気自動車が生活物資を運ぶ唯一の手段になっている。旧市街には学校、スーパー、靴屋から洋服の仕立屋まであり、ひとつの完全な街になっている。道路も狭く、建物も狭いために住民の方々の利便性は極めて悪いが文化・歴史資産を守るという毅然とした姿勢と明るい笑顔が大変魅力的である。
旧市街と新市街を分ける欧州の考え方は、美しい瀬戸内の港町「鞆の浦」の開発でもめている我国でも是非とも採りいれてほしい所である。(尾崎)